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第7章 『俺』の彼女
今だ震える足に力を込め、愛里咲は琉から離れた。

「ごめんね。ここまで歩きだったから…疲れちゃった……」

どんどんと血の気を失っていく愛里咲の顔色に、周りからの視線も集まる。


「ちょっと借りるね」

陽花に優しく声を掛けた松田は、その小さな身体に掛けられていたバスタオルを愛里咲の頭から被せた。

それを見ながら、

「琉、家まで送ってやれ 」

町田が琉をも見やる。


「ううん、翔さんにもお弁当作ったから届けようかと思って…」

無理矢理に作った笑顔を、バスタオルの隙間から覗かせる愛里咲。

「ついでに乗せてってやる」

先程 芙由に突き返した財布から、ちゃっかりと抜いていた免許証を見せながら琉が笑う。


その笑顔に、愛里咲の冷えた心が温まっていく。

ようやく気持ちが落ち着き周りを見れば、

心配そうに愛里咲を見る、松田と坂本、そして町田。


(大丈夫…もう、1人じゃ、ない……)


「ありがとう」

そう言って笑った愛里咲の顔は、もういつもの笑顔に戻っていた。


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