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コンプレックス
第7章 『俺』の彼女

愛里咲の顔を覆うようにして抱き締めたまま、琉は白取を睨み付ける。
一触即発な雰囲気を悟り、翔は慌てて2人の間へと身体を滑り込ませた。
「俺の弟とその嫁さんです。知り合いですか?」
まるで知らなかったかのような口振りで、翔は引き攣った笑顔を白取に向ける。
「……この2人の上司だ」
「上司? ”元” 上司だろ」
白取の言葉に言い返す琉。
その瞳は敵意に満ち、いつもの冷静さの欠片も見えない。
チッ…と、小さく舌打ちした白取。
「誰のせいで…」
「あ、ああ! 白取さん、以前は本社勤務だったんですね! 弟がお世話になりました!」
遮るように放った翔の言葉に、白取は怒りに満ちたその瞳を翔へと向けた。
「お前ら兄弟は、どちらも最初に会った時から気に食わなかった。弟同様、お前も恩を仇で返すんだろ? 早めに潰しておくべきだな」
顎を持ち上げ、威圧的な態度で言い放つ白取。
(恩? 白取さんに恩なんてないだろ)
心の中でツッ込んだのは翔だけ。琉は今にも殴りかかりそうな勢いで大声を上げた。
「恩って何だよ? 子会社への異動で済ませてやったんだ。感謝して、二度と愛里咲に近付くな!」
会社のエントランスで繰り広げられる騒ぎに、人集りも出来始めていた。
一触即発な雰囲気を悟り、翔は慌てて2人の間へと身体を滑り込ませた。
「俺の弟とその嫁さんです。知り合いですか?」
まるで知らなかったかのような口振りで、翔は引き攣った笑顔を白取に向ける。
「……この2人の上司だ」
「上司? ”元” 上司だろ」
白取の言葉に言い返す琉。
その瞳は敵意に満ち、いつもの冷静さの欠片も見えない。
チッ…と、小さく舌打ちした白取。
「誰のせいで…」
「あ、ああ! 白取さん、以前は本社勤務だったんですね! 弟がお世話になりました!」
遮るように放った翔の言葉に、白取は怒りに満ちたその瞳を翔へと向けた。
「お前ら兄弟は、どちらも最初に会った時から気に食わなかった。弟同様、お前も恩を仇で返すんだろ? 早めに潰しておくべきだな」
顎を持ち上げ、威圧的な態度で言い放つ白取。
(恩? 白取さんに恩なんてないだろ)
心の中でツッ込んだのは翔だけ。琉は今にも殴りかかりそうな勢いで大声を上げた。
「恩って何だよ? 子会社への異動で済ませてやったんだ。感謝して、二度と愛里咲に近付くな!」
会社のエントランスで繰り広げられる騒ぎに、人集りも出来始めていた。

