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第7章 『俺』の彼女
(いつもの琉なら飄々と躱すのに…)

いつもなら…といっても、知っているのは父親などの親族を相手にしている琉の姿や、学生時代の担任とのやり取りだが…

戸惑う翔を押し退けて、白取が琉に向けて腕を伸ばした。


「感謝だと⁉︎ 俺がお前らに感謝だと⁈ 笑わせるな!」

「し、白取さん‼︎ 」

白取の腕が琉に届く直前で、白取と同席していた畑山が慌てて止めに入った。


「大切な取引先の会社玄関で何やってるんですか!」

畑山の言葉に白取は大きく舌打ちし、畑山の腕を振り払った。


「すみません! 大丈夫ですか?」

気遣うような畑山の視線に、

「あ…はい。こちらこそ、すみませんでした」

我に返った琉が慌てて頭を下げる。


「本当に申し訳ありませんでした」

翔が頭を下げれば、畑山も同じように頭を下げる。

その様子に、騒ぎを聞き付けて集まっていたギャラリーも各自の仕事へと戻っていく。


(何があったのか…余程酷い目にあったのかもしれない……)

畑山に頭を下げながらも、琉はその背に白取から匿うように愛里咲を隠している。

翔からチラリと見えた愛里咲の顔は、今にも泣きそうに歪んでいた。


(でもここは、俺が上手く納めないと……)

翔はギリリと奥歯を噛み締めた後、白取に向けて頭を下げた。


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