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第7章 『俺』の彼女
退職金で女を買い漁っていた塚本。

その羽振りの良さから金目当ての女が押し掛けた。

金を渡し、物を買い与え、毎日何人もの女を侍らせていた塚本。

当たり前に、退職金は急速に減っていく。

だが、今だ女たちに見栄を張って大金を使う塚本。

陰ではあちこちで昔の知り合いに借金し、更には過去の職場である琉の会社にまで借金の申し出に来たと、副社長のお気に入りである琉にも話が届いていた。

そして、

「あんなに諂ってたのに、キッパリと見捨てたそうですね」

そんな塚本からの金を貸して欲しいとの頼みに、今後関わるなとバッサリと斬り捨てた白取の話も、もちろん知っていた。


「はっ…情報が早いな。使えなくなった駒はいらないからな。巻き込まれる前に切ったんだよ」

「大人しく隠居してた塚本さんを、最初に巻き込んだのはあんただろ」

琉の言葉に、塚本は乾いた笑い声を立てた。


「俺は塚本さんのようにはあしらえないぞ。

俺をこんな下まで落としやがって……必ず思い知らせてやる。


そのための新しい駒は、しっかりと用意してあるからな」



畑山に半ば引き摺られるようにして立ち去る白取。

一先ず騒ぎが収まり、ホッと息を漏らす翔の後ろで、

白取の残した言葉に、不安げに琉を見上げる愛里咲を抱き寄せ、

琉は白取の姿が見えなくなるまで睨み付けていた。


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