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第7章 『俺』の彼女
翔の会社は目の前に駐車場がある。

正面玄関を出た辺りから聞こえていた泣き声は、車へと近付く程にけたたましく聞こえてくる。


「ごめん、陽向。悪かったって…」

陽向を抱き上げた琉がその小さな身体を優しく叩く。

だが、泣き止むどころか陽向の泣き声は益々ヒートアップしていく。


「あーもー、悪かったって!ごめんごめん」

縦抱きにしたり、横抱きにしたり、泣き止まそうと必死になる琉を、

ようやくチャイルドシートから降ろしてもらい渚に抱っこされた陽花が冷めた瞳で見つめていた。


「ほら陽向!陽花は泣いてないぞ。陽向も泣き止め」

琉の言葉に、怒り狂ったように泣く陽向。

その泣き声が、

「いや〜‼︎ 」

とハッキリ聞こえた。


「今…」

大人4人で顔を見合わせる。


「いやって言わなかった?」

翔と渚の声がハモり、同時に笑い出す。


「……拒否られた……」

腕の中で今だ泣き続ける陽向を見つめ、ショックを受けた様子の琉。



「…ふ、っ…ふふっ」

思わず、

愛里咲の口から笑いが零れた。


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