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第8章 弟の過去

キャーキャーと盛り上がる渚と母親。
(そういえば、高校時代から渚は琉と仲良かったんだよな。だからうちの母親とも面識があったのか……)
陽向の泣き声に負けないくらい盛り上がる二人の会話に、呆気にとられた翔はボーッとそんな事を思う。
「翔の良さを分かってくれる子が現れるなんて…!」
「何だそれ!」
母親の言葉に思わず突っ込んだ所で、ようやく母親の視線が翔を捉えた。
「てか、琉と愛里咲ちゃんは?」
母親の腕の中で泣きじゃくる陽向。
ベビーラックに乗せられ、うるさそうに陽向を見上げる陽花。
双子の姿はあるのに、その親である琉と愛里咲の姿が見えない。
「最近 愛里咲ちゃんの元気がないからって、琉が連れ出したのよ」
母親の言葉で、幸せと欲望に浸っていた翔の頭に、昼間の愛里咲の怯えた姿が思い浮かぶ。
(帰る時には笑っていたけど……やっぱり簡単に気持ちは切り替わらなかったのか……)
それでも、琉がそれに気付き、愛里咲を連れ出したのなら心配はないだろう。
(……にしても……)
「何だかんだ、大事にしてんだな」
”元気のない妻を気遣う”
いろんな女と浮名を流していた昔の琉からは想像もしなかった。
愛里咲と出会い、愛里咲と共に過ごすうちに、琉の中の何かが変わっていったのだろう。
柄にも無くそんな兄貴らしい事を思い、緩む頬。
ハッと我に返り、翔は恥ずかしさに頬を染めた。
(そういえば、高校時代から渚は琉と仲良かったんだよな。だからうちの母親とも面識があったのか……)
陽向の泣き声に負けないくらい盛り上がる二人の会話に、呆気にとられた翔はボーッとそんな事を思う。
「翔の良さを分かってくれる子が現れるなんて…!」
「何だそれ!」
母親の言葉に思わず突っ込んだ所で、ようやく母親の視線が翔を捉えた。
「てか、琉と愛里咲ちゃんは?」
母親の腕の中で泣きじゃくる陽向。
ベビーラックに乗せられ、うるさそうに陽向を見上げる陽花。
双子の姿はあるのに、その親である琉と愛里咲の姿が見えない。
「最近 愛里咲ちゃんの元気がないからって、琉が連れ出したのよ」
母親の言葉で、幸せと欲望に浸っていた翔の頭に、昼間の愛里咲の怯えた姿が思い浮かぶ。
(帰る時には笑っていたけど……やっぱり簡単に気持ちは切り替わらなかったのか……)
それでも、琉がそれに気付き、愛里咲を連れ出したのなら心配はないだろう。
(……にしても……)
「何だかんだ、大事にしてんだな」
”元気のない妻を気遣う”
いろんな女と浮名を流していた昔の琉からは想像もしなかった。
愛里咲と出会い、愛里咲と共に過ごすうちに、琉の中の何かが変わっていったのだろう。
柄にも無くそんな兄貴らしい事を思い、緩む頬。
ハッと我に返り、翔は恥ずかしさに頬を染めた。

