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第10章 俺の弟は…
「歳いくつ?どこ中出身?兄弟は?弟いる?」

「え?は?あ…えっと……」

矢継ぎ早に芙美の口から繰り出される質問に、翔はオロオロと視線を彷徨わせる。


グッと近付いた芙美と翔の距離。

ムッとした顔を丸出しに、渚は2人の間へと身体を滑り込ませた。


「夏川琉くん覚えてる?そのお兄さん!」

睨むようにそう告げた渚の言葉に、

「えー、琉のお兄さん⁉︎ 似てないー!」

芙美からは案の定な答えが返ってくる。


「よく、言われます…」

ボソボソとそう呟いた翔を心配そうに見つめる渚。

その渚に、無遠慮な言葉が浴びせられた。


「てか、渚って琉が好きだったんじゃないの?」


視線を合わせることも出来ずに、翔と渚が固まる。


「琉の事、いつも目で追ってたよね?私のことも睨んでたし、愛里咲の事も相当嫌ってたでしょ?」

「は……はぁっ⁉︎ 違うし‼︎ 高校の時の話でしょ‼︎ 翔さんの前でやめてよ‼︎ 」

我に返った渚が慌てて言葉を返すが、

「あー、ごめ〜ん」

芙美に反省した様子は微塵も見られない。


「違うから…っ……今はっ、違うから!」

半泣き顔で翔を見る渚。

「わかってる」

その頭を、子供をあやすかのように翔の大きな手が優しく撫でた。


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