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第10章 俺の弟は…
「───ンで、芙美が着いてくるんだよ?」

愛里咲の背を支えながら共に寝室へと入る琉。

その後ろを、

「夫婦の寝室!コーフンする!」

平然と着いてくる芙美。


「普通は遠慮して寝室は入んねぇだろ」

眉根を寄せて振り返る琉に、

「私と琉の仲じゃん!」

芙美はさも当然と言わんばかりの笑顔を見せた。


「そんな深い仲じゃねぇよな?」

「愛里咲より前に付き合ってたよ?」

高校時代、確かに愛里咲の前に琉と芙美は付き合っていた。

チクリ……愛里咲の胸が小さく疼く。


「あまりのウザさに仕方なく、な」

琉の言葉に、そんな付き合いだったのかとホッとしたのも束の間、

「キスもエッチもしたよ?」

芙美の言葉にまた愛里咲の胸が痛む。


「1回で限界きたけどな」

「えーっ、その後も挿れる直前まではいったじゃん?」

ヒートアップする琉と芙美の会話に、愛里咲の顔はどんどんと俯いていく。


「お前がうるせーからだろ。でも、止まんねぇその口と大袈裟な喘ぎ声に萎えてもう無理だった」

「大切過ぎて触れられなかったんでしょ?ねぇ、あと一回だけでいいからしようよ?私も琉のDNA欲しい!」


(─────え⁉︎ )

驚きに声も出ず、それでも顔だけはガバッと勢いよく上がる。

愛里咲の不安な視線を、呆れたように芙美を見ていた琉の視線が拾った。


「バカじゃねぇの?ていうか、愛里咲の前で……無神経な女だな」

伸ばされた琉の大きな掌が、愛里咲の髪をくしゃりと撫でる。


「自分の奥さんを無神経とか言わないの!」

「お前のことだよ」

いつもより、琉の寄せられた眉根の皺が深い。


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