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第10章 俺の弟は…
「え?私が奥さん?琉の中では私が奥さんなの⁈ 」

「日本語通じねぇヤツってマジでウザイ」

ため息を吐きながら、再び愛里咲へと視線を移す琉。


バッチリと重なる視線。

目を見開いた愛里咲にじーっと見つめられ、琉は眉間に皺を寄せた。


「何?」

「あ、いや……”夫婦の寝室入ったからにはそれなりの覚悟あるんだろうな” とか言わないんだなって……」

あれは佐藤の結婚式の時だったか…

ホテルの部屋へと入ってきた摩美に、琉はそんな事を言って追い返していた。


「は?」

「えっ⁉︎ ごめん。何でもない!」

思い出したそれをそのまま言葉にしていた事に、愛里咲はハッとして首を横に振った。


「……そんなに見せたいのかよ?」

「ええっ⁉︎ そんな訳…っ」

「見たくない!」

2人の会話に芙美が苛立った声を挟む。


睨むように愛里咲を見る芙美。

琉の口端がクッと持ち上げられた。


「愛里咲の望み通り、見せ付けてやるか?」

「ちがっ……んっ!」


反論する暇も与えられず、塞がれる唇。

琉の身体を押し返そうとする愛里咲の手は、呆気なく琉に囚えられて壁に押し付けられる。


「琉ちゃ……やっ……んンッ……」

息が苦しくなる程に、どんどんと深くなっていくキス。

必死に継ごうとする呼吸も、

試みる抵抗も、

琉の唇に吸い取られてしまう。


「や…やめてよ!琉⁉︎ 」

琉の身体にしがみ付き、引き剥がそうとする芙美を、琉がゆっくりと振り返った。



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