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コンプレックス
第10章 俺の弟は…

トントントン…
リズミカルな音がキッチンに響く。
心配無用とばかりに、慣れた手付きで野菜を千切りにしていく芙由。
余裕のあるその顔は、どこか楽しそうに微笑んでさえいる。
「芙由…ちゃんは……琉くんが好きなの?」
止まっていた手を再び動かしながら、渚はチラッと隣にいる芙由を見た。
「はい‼︎ 変態野郎を殴ってまであたしを助けてくれました‼︎ 琉さんはあたしの王子様です‼︎ 」
キラキラと瞳を輝かせる芙由。
だが、その視線は絡むことがない。
「でもさ、琉くんは愛里咲という奥さんが居て、陽向と陽花っていう可愛い子供も居るんだよ?」
「関係ないです‼︎ 」
即答された答え。
会話が成立しているようで、ずれ過ぎていて苛立たしい。
「いや、あるでしょ…」
「琉さんが守ってくれたあたしの ”初めて” は、絶対に琉さんにもらってもらうの!」
渚の言葉を遮った芙由の言葉。
周りが見えない自分本位な世界は、
「あー…そのウザさ…芙美にそっくり……」
芙由の年齢もあるだろうけど、見知った人物にそっくりだ。
「おい、ストーカー! このうるせー姉貴連れて帰れ」
キッチンの入り口から、琉の苛立った声が響く。
見れば、泣きじゃくる芙美が琉の足に抱き着くようにしがみ付いている。
「琉さん! あたしの名前は須藤芙由です。ストーカーじゃありません」
ニコニコとそう返す芙由。
「……自覚なし?」
渚の口からそんな言葉が無意識に零れた。
リズミカルな音がキッチンに響く。
心配無用とばかりに、慣れた手付きで野菜を千切りにしていく芙由。
余裕のあるその顔は、どこか楽しそうに微笑んでさえいる。
「芙由…ちゃんは……琉くんが好きなの?」
止まっていた手を再び動かしながら、渚はチラッと隣にいる芙由を見た。
「はい‼︎ 変態野郎を殴ってまであたしを助けてくれました‼︎ 琉さんはあたしの王子様です‼︎ 」
キラキラと瞳を輝かせる芙由。
だが、その視線は絡むことがない。
「でもさ、琉くんは愛里咲という奥さんが居て、陽向と陽花っていう可愛い子供も居るんだよ?」
「関係ないです‼︎ 」
即答された答え。
会話が成立しているようで、ずれ過ぎていて苛立たしい。
「いや、あるでしょ…」
「琉さんが守ってくれたあたしの ”初めて” は、絶対に琉さんにもらってもらうの!」
渚の言葉を遮った芙由の言葉。
周りが見えない自分本位な世界は、
「あー…そのウザさ…芙美にそっくり……」
芙由の年齢もあるだろうけど、見知った人物にそっくりだ。
「おい、ストーカー! このうるせー姉貴連れて帰れ」
キッチンの入り口から、琉の苛立った声が響く。
見れば、泣きじゃくる芙美が琉の足に抱き着くようにしがみ付いている。
「琉さん! あたしの名前は須藤芙由です。ストーカーじゃありません」
ニコニコとそう返す芙由。
「……自覚なし?」
渚の口からそんな言葉が無意識に零れた。

