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第10章 俺の弟は…

料理の話で盛り上がる他3人をつまらなそうに見つめていた芙美。
最後の一口を喉の奥へと飲み込むと、
「で、愛里咲は何で元気ないの? 芙由のせい?」
そう言って、箸の先を愛里咲へと向けた。
「え? あたし?」
突然の名指しに全く意味がわからないと首を傾げる芙由。
「あ、違うの。その…思い出したくない人と…会っちゃって……」
慌てて紡いだ愛里咲の言葉は、尻窄みに小さくなっていく。
「思い出したくない人?元カレとか?」
「……ううん。嫌な…思い出が……ある人」
愛里咲に向けた箸の先をクルクル回しながら、無遠慮に聞く芙美。
「そっか。思い出すと辛いんだね」
「うん…」
白取と会った時の愛里咲の動揺。
そして、いつも冷静な琉の怒りに満ちた顔。
それを物陰から見ていた渚は、こんな話は終わりにしようと次の話題を探した。
「嫌な思い出?その人と何があったの?」
俯く愛里咲に容赦無く投げ掛けられる芙美の言葉。
「芙美!」
「友達にも言えない?」
渚の制止なんてまるで聞こえていないかのように、芙美は責めるように愛里咲に言葉を投げる。
「……っ、ごめん」
芙美も芙由も渚も食べ終わり、
途中で席を外した翔と琉のお皿も終わりに近い。
そんな中でまだ半分も食べ終えていない愛里咲の皿からは、その体調の悪さを感じられた。
(それなのに…っ!)
「ちょっと!芙美は愛里咲の友達じゃないでしょ!」
無粋な芙美の物言いに、渚は声を荒げた。
「わざわざ心配して来てやったのに?それなのに肝心な事 言ってくれないなんて酷くない?」
愛里咲を見る芙美の視線は、高校時代に愛里咲を徹底的に虐めていた時と変わっていなくて、渚は芙美を連れて来た事を酷く後悔していた。
最後の一口を喉の奥へと飲み込むと、
「で、愛里咲は何で元気ないの? 芙由のせい?」
そう言って、箸の先を愛里咲へと向けた。
「え? あたし?」
突然の名指しに全く意味がわからないと首を傾げる芙由。
「あ、違うの。その…思い出したくない人と…会っちゃって……」
慌てて紡いだ愛里咲の言葉は、尻窄みに小さくなっていく。
「思い出したくない人?元カレとか?」
「……ううん。嫌な…思い出が……ある人」
愛里咲に向けた箸の先をクルクル回しながら、無遠慮に聞く芙美。
「そっか。思い出すと辛いんだね」
「うん…」
白取と会った時の愛里咲の動揺。
そして、いつも冷静な琉の怒りに満ちた顔。
それを物陰から見ていた渚は、こんな話は終わりにしようと次の話題を探した。
「嫌な思い出?その人と何があったの?」
俯く愛里咲に容赦無く投げ掛けられる芙美の言葉。
「芙美!」
「友達にも言えない?」
渚の制止なんてまるで聞こえていないかのように、芙美は責めるように愛里咲に言葉を投げる。
「……っ、ごめん」
芙美も芙由も渚も食べ終わり、
途中で席を外した翔と琉のお皿も終わりに近い。
そんな中でまだ半分も食べ終えていない愛里咲の皿からは、その体調の悪さを感じられた。
(それなのに…っ!)
「ちょっと!芙美は愛里咲の友達じゃないでしょ!」
無粋な芙美の物言いに、渚は声を荒げた。
「わざわざ心配して来てやったのに?それなのに肝心な事 言ってくれないなんて酷くない?」
愛里咲を見る芙美の視線は、高校時代に愛里咲を徹底的に虐めていた時と変わっていなくて、渚は芙美を連れて来た事を酷く後悔していた。

