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第10章 俺の弟は…
「あー、高校の時に付き合ってたよ」

芙由の手を払いながら、面倒臭そうに芙美が答える。


「今も好きなの?」

「んー、好きだよ?」

「芙美‼︎ 」

芙由の言葉に平然と答える芙美。

渚が慌てて声を掛けるが、姉妹には聞こえていないようだ。


「でもお姉ちゃん、あの人は?彼氏じゃないの?」

「はぁ?誰〜?」

「部屋でエッチな事してたオジサンだよ!」

予想外の会話に、愛里咲と渚は顔を見合わせる。

更に、

「あー…白取敏友ぉ?」

「え……」

予想外の名前が飛び出し、愛里咲は身体を強張らせた。


「芙美、白取さんと付き合ってるの⁉︎ 」

思わず声を荒げた渚に、知り合い?と呑気な芙美の声が返って来る。

琉と愛里咲とも知り合いだということは伏せ、渚は白取と仕事で取引があるとだけ告げた。


「あんなオジサンと付き合う訳ないでしょ。ただの飲み友達…みたいな感じかな? 

ヤバイくらいに私に惚れてるみたいで、高校時代の話とかすごい聞かれて…琉との事をいろいろ話しててさぁ、ヤキモチ妬かれて押し倒されたぁみたいな?

でも芙由が来たから最後まではされてないよ」


ケラケラと笑いながらそう言う芙美。

特に気にしていなそうな態度に、渚はホッと胸を撫で下ろした。



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