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第10章 俺の弟は…
”高校時代の話とかすごい聞かれて…琉との事をいろいろ話しててさぁ”

先程の芙美の言葉が愛里咲の頭の中をグルグルと旋回する。
 

「琉、ちゃんの……事?」

呟いた愛里咲に視線を移し、

「そう。名前は出してないからさ、元カレはセックス上手かったのかとか、どこに触ったのかとか、根掘り葉掘り! 嫉妬深くて困るわぁ」

勝ち誇ったように笑う芙美。


(……嫉妬? ただの嫉妬?)

それならいい。

でも、もしも芙美の元カレが琉だと知っていて聞いているのなら……


不安に顔を歪める愛里咲。

芙美はそれを嫉妬と受け取り、益々笑みを深めた。


「───…っ他には? 何か聞かれた⁉︎ 」

「んー…いろいろ聞かれたけど覚えてない」

「……っ」

弾かれたように顔を上げ、矢継ぎ早に聞く愛里咲。

意地悪くそう言えば、愛里咲の顔が泣きそうに歪んでいく。



「そんな心配しなくてもぉ、高校時代の私の元彼って琉だけじゃないし〜。琉の名前は言ってないからぁ、愛里咲には関係ないでしょ。まぁ心配なら本人に口止めしとくけどね〜」

クスクスと笑い出す芙美に、愛里咲の不安が増していく。


「愛里咲? 顔、真っ青だよ? 大丈夫?」

渚が慌てて愛里咲の身体を支えた。


「……うん、ごめん……」

「こっちこそ! 病み上がりなのにごめん! そろそろ帰るよ」



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