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第11章 俺の決意
「ほら座って!琉が出したのは口だけ!俺が作ったんだって!」

得意顔のまま、翔は母親の席の椅子を引く。


「すごいじゃない!いただきます」

席に着いた母親は、無難にご飯を口に運ぶ。


「あ、美味しく炊けてる!」

「米の研ぎ方も知らねぇんだよ。洗剤入れようとするし、一々手にとって両手で揉み洗いしてた」

母親の褒め言葉に、すかさずツッこむ琉。


「ふふっ、それはそれはご丁寧にありがとう」

そう言うと、今度は味噌汁を口にした母親。


「え…美味しい……初心者の味じゃないよ」

「だろ〜?」

「……すっげーしょっぱかったの、水足したり卵入れたりして誤魔化したんだよ」


息子二人で協力して夕飯を作ってくれた…

なんとも言えない幸福感に、母親の頬が緩む。


「何だよー、ほら、洗濯もやっといた!」

シャッ───…

翔が勢い良くカーテンを開ければ、窓の外に洗濯物が干されてる。


「わぁ!ありがとう!」

嬉しそうに目を細める母親に、

「な?俺も一人暮らし出来そうだろ?」

ブンブンと振られる尻尾が見えそうな翔。


「うーん、そうね。琉はどう思う?」

「……俺と愛里咲は巻き込まないで」

「巻き込まない!約束する!」

冷静な母親と琉。

大興奮の翔。

その性格の違いに母親の顔から笑みが零れる。


「そうね。お父さんに話してみるわ」

母親の言葉に、

「よっしゃ〜!」

翔は両手を挙げて飛び跳ねた。


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