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第11章 俺の決意
ようやく解放されて玄関の外へと出れば、既に太陽は真上まで上がっていた。


両手に双子を抱いた琉の後ろを愛里咲が歩く。

出掛けようとしていた琉と愛里咲と双子は、同じ階の少し離れた部屋の引っ越しを目撃した。


「挨拶しなきゃ!」

駆け寄ろうとした愛里咲の顔が、

「挨拶って……ていうか、あの後ろ姿……すげー嫌な予感がする」

立ち止まった琉の背中に埋まる。


「え?

─────あ!翔さん⁉︎ 」


琉の言葉に振り返った人物。

それは愛里咲にとっては義兄で、

「私も居るよ〜」

そんな翔の後ろから、更に見知った顔がひょっこりと顔を出した。


「渚⁉︎ 一緒に住むの⁉︎ 」

ここがマンションの通路だということも忘れてはしゃぐ愛里咲。


「家事担当補佐にたまに来るよ」

渚も嬉しそうに笑う。


そんな2人を見る翔の笑顔は引き攣っている。

逸らすことなく浴びせられる痛い視線。

可愛い姪っ子と甥っ子のプニプニのほっぺを突きたいのに、2人を抱いている人物からの視線が怖くてそちらを向くことも出来ない。



「……何でここなんだよ?」

鋭い視線に鋭い声。

明らかに怒りの混じる琉のそれらに、翔は貼り付けたような引き攣った愛想笑いを向けた。


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