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第12章 俺の弟の胸の内

”最近さぁ…な〜んか、琉がやたら周囲を気にしてんだよ”
夫である佐藤 栄都[さとう えいと]にそう聞かされたのは、もう半月近く前になるだろうか…
最近では別々の仕事も増えたようだが、公私共に仲のいい佐藤と琉。
佐藤が琉を弟のように可愛がるから、いつの間にか芽衣も愛里咲を妹のように可愛がる。
”白取に家がバレたらマズイ”
そんな、年下の可愛い夫婦の危機。
白取と琉と愛里咲……3人の間にある過去は知らないが、白取たちの異動の理由がそこにある事や、ここ最近のトラブルも聞き及んでいる。
(靴底の減りの早さは、自宅の場所を知られないように遠回りしてるとかかな)
先程、愛里咲が口にした不安。
その答えを、芽衣は知っている。
(帰りが遅いのも、息を切らしてるのもそのせいか……それか、階を知られない為に階段使ってるとか?)
でも、
その答えは、愛里咲にまた白取からの恐怖を思い起こさせてしまう。
”芽衣さん、愛里咲には言わないで”
真剣な琉の瞳を真っ直ぐに見つめて頷き返したのは、芽衣も同じ気持ちになったからだ。
(愛里咲の育休が明ければ、仕事中も琉くんが傍にいるし、町田部長や松田さんや坂本さんも気にしてくれる)
それまでは、愛里咲が1人で出歩くのを心配した琉から、時間のある時だけでも一緒にいて欲しいと頼まれていた。
「大丈夫かなぁ…」
小さく手を振り、双子のベビーカーを押してマンションへ向かう愛里咲。
出かける時は必ず声掛けて!と言っているのに、遠慮しているのか愛里咲から誘われる事は少ない。
ため息混じりに愛里咲の後ろ姿を見送り、再び車を発進させようと芽衣はルームミラーを覗き込んだ。
「……?」
ルームミラーに映った後ろの車…
黒のワゴン…運転手の顔は見えない…
(あの車…ずっと後ろを走ってなかった?)
嫌な胸騒ぎがする。
(どうかただの気のせいでありますように……)
そう願いながら、芽衣は佐藤と琉にメールを送信した。
夫である佐藤 栄都[さとう えいと]にそう聞かされたのは、もう半月近く前になるだろうか…
最近では別々の仕事も増えたようだが、公私共に仲のいい佐藤と琉。
佐藤が琉を弟のように可愛がるから、いつの間にか芽衣も愛里咲を妹のように可愛がる。
”白取に家がバレたらマズイ”
そんな、年下の可愛い夫婦の危機。
白取と琉と愛里咲……3人の間にある過去は知らないが、白取たちの異動の理由がそこにある事や、ここ最近のトラブルも聞き及んでいる。
(靴底の減りの早さは、自宅の場所を知られないように遠回りしてるとかかな)
先程、愛里咲が口にした不安。
その答えを、芽衣は知っている。
(帰りが遅いのも、息を切らしてるのもそのせいか……それか、階を知られない為に階段使ってるとか?)
でも、
その答えは、愛里咲にまた白取からの恐怖を思い起こさせてしまう。
”芽衣さん、愛里咲には言わないで”
真剣な琉の瞳を真っ直ぐに見つめて頷き返したのは、芽衣も同じ気持ちになったからだ。
(愛里咲の育休が明ければ、仕事中も琉くんが傍にいるし、町田部長や松田さんや坂本さんも気にしてくれる)
それまでは、愛里咲が1人で出歩くのを心配した琉から、時間のある時だけでも一緒にいて欲しいと頼まれていた。
「大丈夫かなぁ…」
小さく手を振り、双子のベビーカーを押してマンションへ向かう愛里咲。
出かける時は必ず声掛けて!と言っているのに、遠慮しているのか愛里咲から誘われる事は少ない。
ため息混じりに愛里咲の後ろ姿を見送り、再び車を発進させようと芽衣はルームミラーを覗き込んだ。
「……?」
ルームミラーに映った後ろの車…
黒のワゴン…運転手の顔は見えない…
(あの車…ずっと後ろを走ってなかった?)
嫌な胸騒ぎがする。
(どうかただの気のせいでありますように……)
そう願いながら、芽衣は佐藤と琉にメールを送信した。

