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第12章 俺の弟の胸の内
「……えっと……ごめんね、琉ちゃん帰ってくるまでにご飯作らなきゃ」

早口でそう言って、愛里咲は急いで双子のベビーカーを押し、自動ドアのロックを解除しようと近付く。


─────が、

ガシッと掴まれた手。

芙美の長い爪が愛里咲の肌に食い込む。


「琉は何時頃帰る?部屋で待たせてもらっていい?」

「……部屋は困る」

「えー?なんでぇ?」

さりげなく芙美の手を払い、赤くなった爪痕を摩りながら愛里咲は後退る。


「ご飯…双子にもあげなきゃだし、お風呂とか、ちょっとバタバタするから……」

「あー、私 手伝うよ」

全く引き下がる様子のない芙美。

このままドアを開ければ、間違いなく一緒に入って来てしまうだろう。


「いや!大丈夫!1人でやれるから!」

「また倒れたら困るじゃん?」

「もう大丈夫だよ。ありがとうね!じゃあ!」


強行突破するしかない!

そう思い、ベビーカーを押す手に力を込めた愛里咲を、

「待って待って」

ベビーカーを掴んだ芙美が押し留めた。



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