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第12章 俺の弟の胸の内

「………何やってんだよ?」
ハッとして振り返れば、
「琉!」
「琉ちゃん…」
ホッとして、愛里咲の身体の力が抜けていく。
安心したように零れ出した愛里咲の涙を、ため息混じりに見た琉。
芙美は勝ち誇ったように笑い、琉の腕へと抱き着いた。
「琉〜、愛里咲ってばひどいんだよ!赤ちゃんを抱っこさせたくないって泣くの!独り占めだよ?あり得なくない?」
───抱っこのおねだりじゃなかったよね⁉︎
睨むように芙美を見る愛里咲。
でも、涙で濡れた顔で何を言っても言い訳になる気がして黙り込む。
「……あり得ない、な……」
琉の口から出た言葉。
先程の芙美の言葉への返事であろうその言葉は、愛里咲の心へと深く突き刺さる。
「芙美に双子を抱かせんの、絶対あり得ないよな」
芙美の手を振りほどきながら、琉が双子のベビーカーを覗き込めば、
「ぱっ、ぱぁ!」
陽向が嬉しそうな声をあげて両手を伸ばす。
「ただいま」
そう言って双子に笑顔を見せた琉。
その優しい表情に、愛里咲と芙美は見惚れ…息を飲んだ。
不意に、琉は愛里咲を振り返り、
「……ただいま」
小さく笑う。
「〜〜〜〜〜っ、おかえりなさい‼︎ 」
目の前には芙美がいるのに…
いや、芙美がいるからこそ、
琉に ”おかえり” を言える自分の立場を認められた気がして、愛里咲は飛びつくように琉へと抱き着いた。
ハッとして振り返れば、
「琉!」
「琉ちゃん…」
ホッとして、愛里咲の身体の力が抜けていく。
安心したように零れ出した愛里咲の涙を、ため息混じりに見た琉。
芙美は勝ち誇ったように笑い、琉の腕へと抱き着いた。
「琉〜、愛里咲ってばひどいんだよ!赤ちゃんを抱っこさせたくないって泣くの!独り占めだよ?あり得なくない?」
───抱っこのおねだりじゃなかったよね⁉︎
睨むように芙美を見る愛里咲。
でも、涙で濡れた顔で何を言っても言い訳になる気がして黙り込む。
「……あり得ない、な……」
琉の口から出た言葉。
先程の芙美の言葉への返事であろうその言葉は、愛里咲の心へと深く突き刺さる。
「芙美に双子を抱かせんの、絶対あり得ないよな」
芙美の手を振りほどきながら、琉が双子のベビーカーを覗き込めば、
「ぱっ、ぱぁ!」
陽向が嬉しそうな声をあげて両手を伸ばす。
「ただいま」
そう言って双子に笑顔を見せた琉。
その優しい表情に、愛里咲と芙美は見惚れ…息を飲んだ。
不意に、琉は愛里咲を振り返り、
「……ただいま」
小さく笑う。
「〜〜〜〜〜っ、おかえりなさい‼︎ 」
目の前には芙美がいるのに…
いや、芙美がいるからこそ、
琉に ”おかえり” を言える自分の立場を認められた気がして、愛里咲は飛びつくように琉へと抱き着いた。

