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第12章 俺の弟の胸の内
その声色から伝わるのは、明らかな ”拒絶” の意。

琉がドアを押さえたのは、

芙美を招くためではなく、

ここで追い返す為なのだと嫌でも気付かされる。


「……っ、会いたくて……再会した琉が余りにも素敵で、私の理想そのまんまで……ううん、理想を遥かに超えていて……押し殺してきた気持ちが抑え切れなくなったの!」


鼻の奥がツンとして、ジワリと涙が浮かぶ。

泣き叫ぶ芙美を見る琉の目は相変わらず冷たい。


それでも、

高1のあの日…

琉に別れを告げられたあの日…

あの日、意地でも別れる事を了承しなければよかった……

そうすれば、きっと今、琉の隣にいたのは愛里咲ではなく自分なのに…


芙美は、涙の滲む目で、琉の後ろからこちらを伺っている愛里咲を睨み付けた。


「……芙美も、俺が思ってた通りの人間になったな」

「え?」

琉の言葉に、芙美は嬉しそうに笑う。


だが、そんな芙美を見る琉の目は冷たく……そして、

「自分の世界ン中で生きてて、他人の世界に興味すら示さなくて、なのに自分の世界に平然と他人を巻き込む……マジで関わりたくねぇ人種」

そう、冷たく言い放たれる。


「……え?」

引っ込められない芙美の笑顔が引き攣る。


「何度も言わせんなよ…─────二度と来んな」

「……っ……」


それだけ言って琉がドアから手を離せば、放心する芙美の目の前で無情にもドアは閉っていく。



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