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コンプレックス
第12章 俺の弟の胸の内

「あのね…双子って大変だけど可愛さも二倍でしょ?どっちも大事なの…」
キュ…と、愛里咲は琉のコートの端を掴む。
「……そうだな」
頷く琉に、愛里咲は先程感じた不安を口にしていく。
「でも……私の腕は2本あるのに……一度に2人を守れない……」
ベビーカーに伸ばされた芙美の手…
───ベビーカーが倒れたら?
どれだけ急いでも、愛里咲1人で2人を抱き上げられない。
───もしあのまま陽花を連れて行かれたら?
陽向1人をベビーカーに残して追い掛けられない。
「私1人じゃ、2人を守れないの……」
ジワリと収まりかけた涙が視界を歪める。
2本の腕があったって、同時に2本使えない。
優先順位なんて付けられないから、2人を同時に追いかけられない。
涙声になる愛里咲に、琉はため息を零した。
「そのために俺がいるんだろ」
「え?」
「俺なら一度に2人を抱き上げられる」
そう言って、琉はベビーカーから双子を抱き上げてみせる。
「それに、俺が居れば愛里咲と同時に違う方向に走り出せるだろ」
満面の笑みを浮かべてはしゃぐ陽向に、琉の顔も綻ぶ。
そうなれば、必然的に愛里咲の顔も綻んで、
「うん!頼りにしてるからね!」
すっかり泣くことを忘れた愛里咲は、元気に空のベビーカー押してエレベーターを降りた。
キュ…と、愛里咲は琉のコートの端を掴む。
「……そうだな」
頷く琉に、愛里咲は先程感じた不安を口にしていく。
「でも……私の腕は2本あるのに……一度に2人を守れない……」
ベビーカーに伸ばされた芙美の手…
───ベビーカーが倒れたら?
どれだけ急いでも、愛里咲1人で2人を抱き上げられない。
───もしあのまま陽花を連れて行かれたら?
陽向1人をベビーカーに残して追い掛けられない。
「私1人じゃ、2人を守れないの……」
ジワリと収まりかけた涙が視界を歪める。
2本の腕があったって、同時に2本使えない。
優先順位なんて付けられないから、2人を同時に追いかけられない。
涙声になる愛里咲に、琉はため息を零した。
「そのために俺がいるんだろ」
「え?」
「俺なら一度に2人を抱き上げられる」
そう言って、琉はベビーカーから双子を抱き上げてみせる。
「それに、俺が居れば愛里咲と同時に違う方向に走り出せるだろ」
満面の笑みを浮かべてはしゃぐ陽向に、琉の顔も綻ぶ。
そうなれば、必然的に愛里咲の顔も綻んで、
「うん!頼りにしてるからね!」
すっかり泣くことを忘れた愛里咲は、元気に空のベビーカー押してエレベーターを降りた。

