この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
コンプレックス
第12章 俺の弟の胸の内
「あのね…双子って大変だけど可愛さも二倍でしょ?どっちも大事なの…」

キュ…と、愛里咲は琉のコートの端を掴む。


「……そうだな」

頷く琉に、愛里咲は先程感じた不安を口にしていく。


「でも……私の腕は2本あるのに……一度に2人を守れない……」


ベビーカーに伸ばされた芙美の手…

───ベビーカーが倒れたら?

どれだけ急いでも、愛里咲1人で2人を抱き上げられない。


───もしあのまま陽花を連れて行かれたら?

陽向1人をベビーカーに残して追い掛けられない。



「私1人じゃ、2人を守れないの……」

ジワリと収まりかけた涙が視界を歪める。

2本の腕があったって、同時に2本使えない。

優先順位なんて付けられないから、2人を同時に追いかけられない。


涙声になる愛里咲に、琉はため息を零した。


「そのために俺がいるんだろ」

「え?」



「俺なら一度に2人を抱き上げられる」

そう言って、琉はベビーカーから双子を抱き上げてみせる。


「それに、俺が居れば愛里咲と同時に違う方向に走り出せるだろ」


満面の笑みを浮かべてはしゃぐ陽向に、琉の顔も綻ぶ。

そうなれば、必然的に愛里咲の顔も綻んで、

「うん!頼りにしてるからね!」

すっかり泣くことを忘れた愛里咲は、元気に空のベビーカー押してエレベーターを降りた。



/395ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ