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第12章 俺の弟の胸の内
両手に双子を抱き、前を歩く琉。

その後ろ姿を見つめる愛里咲。


”愛里咲から腕を組むと、琉は立ち止まって愛里咲を睨むんでしょ?”

芙由が見たというその光景。


(そんな事、ない)

ベビーカーを止め、愛里咲は駆け寄って琉に抱き着く。


立ち止まり、愛里咲を振り返る琉。

(そんな事…あった……けど……)

琉からの鋭い視線に耐え切れず、目を逸らす愛里咲。


「いきなり何だよ?双子抱いてんだけど?」

訝しむ琉に、

「こ、子供がいたって、これくらいいいでしょ⁈ 」

視線を合わせられずにそう言い放ち、愛里咲は恐る恐る琉を盗み見た。


「─────…っ」

フッと小さく笑った琉に、愛里咲は息を飲み、ただただ見惚れる。


(琉ちゃんのこんな優しい顔、芙美ちゃんも芙由ちゃんも知らないんだ)

そう思えば、愛里咲の顔が幸せそうに綻んでいく。


(絶対教えてあげないけどね)

重い気持ちもすっかり消え、愛里咲はスキップでもしそうな程に足取り軽く部屋へと向かった。



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