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第12章 俺の弟の胸の内
部屋の前へと着けば、

「うわ……何、これ……」

玄関ドアにはハート満載のピンクの便箋がど真ん中に貼られていた。


そこには、

”流さんへ

テスト期間中で親がうるさくて

会えなくてさみしいです T^T

ダイスキ♡

もう少し、待っててね。

芙由”

と、可愛らしい文字が並んでいた。


(うわぁ……昼間のうちに貼りに来たんだ!芙由ちゃんもすごいわ……さすが芙美ちゃんの妹!)

感心すら覚える愛里咲に、

「……愛里咲、鍵」

双子を抱いて呆れたようにこちらを見る琉から声が掛けられる。


「ああっ、ごめん!芙由ちゃんのアピール可愛いね」

慌てて鍵を開ける愛里咲の後ろで、

「……やっぱバカだ。漢字、間違ってる」

ハートを飛ばしまくる便箋を睨む琉。

双子を家の中へと下ろせば、琉はその便箋を剥がしクシャクシャと丸めた。


ピンポーン…

こんなタイミングで鳴るチャイム。

琉と愛里咲は顔を見合わせ、玄関ドアを睨んだ。


「琉?いないのか?」

睨むドアの向こうから聞こえたのは、聞きなれた声。


琉がドアを開けば、

「……ちょっと、いい?」

神妙な顔の翔が立っていた。



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