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第12章 俺の弟の胸の内
「気付いてんだろ?畑山さんに確認取った。白取さんのだ」


”白取さんのだ”

その言葉に、明らかに動揺を見せた琉。


「……っ、兄貴は、関係ないだろ」

紡ぎ出した声も心なしか震えている。


「関係ない訳ないだろ!」

思わず翔の声が大きくなる。

「普段とは明らかに違う…そんな、動揺した弟を見て……放って置けると思うか?」


そんな翔の言葉に、琉の顔が苦しげに歪む。

「俺が、愛里咲を……」

縋るような視線を翔に向け、そう呟く琉。

すぐにハッとして口を噤み、

「何でもない。俺がどうにかするから」

そう言えば、翔の声も振り切り家の中へと入ってしまう。



「あーもー!どうしろって言うんだよ⁉︎ 」

母の不安…期待……

でも、

(やっぱ兄として見られてないんだ)

ため息を一つ零すと、翔は少し離れた自分の部屋に向けて歩き出す。


「おかえりなさい!」

笑顔で出迎えてくれる渚にホッとして、つられて笑顔になる。

そのタイミングで、

♪〜

短いメール音。


『ごめん』

たった一言だけの弟からのメール。


「琉……」

(やっぱお前おかしいって…)

確実にいつもと様子の違う弟。

母親と同じ不安に襲われる。


───1人では抱え込めないでいる…

だったら、俺を頼ればいい。

琉が言えないなら、俺が探る。


「翔さん?」

携帯を見つめたまま考え込む翔を心配そうに見る渚。


「どうかしたの?何か考え事?」

渚に笑顔を返した翔は、

「うん。兄貴らしいこと、考えてた」

渚の手を取り、家の中へと入っていった。



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