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第12章 俺の弟の胸の内
「翔さんと琉くんて似てますね」

「え?」

思いがけない言葉に、翔はハッと我に返る。


兄弟だから顔は似通う時もある。でも、性格は正反対。

”琉くんとは違うから別れよ”

散々言われてきた。


なのに…

「似てる?俺と、琉…が?」

目を見開き、渚を見つめる翔。

頷いた渚は、

「似てます。1人で抱え込んじゃうところ」

と可笑しそうに笑った。


「この前、翔さんのお母さんの心配事を聞いた時、言いましたよね?」

「え?」

引越したその夜、渚には打ち明けた母親の杞憂。

あの時、渚は何て言ったのか……翔は思案顔で首を傾げた。


「 ”私なりに動いてみますね” 」

「あ…」

その言葉に、あの夜の記憶が溢れ出す。


「ちゃんと動いてますよ」

渚の笑顔に、心の中に不安が渦巻く。


「そんなつもりで言ったんじゃないよ」

「わかってます」

「〜〜〜わかってない!」

思わず声を荒げたのは、

愛里咲の苦しげな顔が過ったからだ。


相手は多分白取だ。

何をしたのか翔にはわからないけど、白取によって愛里咲は深く傷つけられた。

そして、その事で、あの琉が抱え切れないほどのダメージを受けている。


それが何かわからない。

だから余計怖い。

渚に、そんな辛い思いをさせたくない…

渚を、巻き込みたくない……



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