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第12章 俺の弟の胸の内
グイッ
思わず震えた手を伸ばし、渚の身体を引き寄せる。

自らの胸の中へと収まる小さくて柔らかな身体が、大切過ぎて怖くなる。


「頼むから……危ないこと、しないで?」

渚の首元に顔を埋めた翔は、苦しげにそう呟いた。


「……翔さん……」

ポンポンと、優しく髪を叩かれる。

顔を上げれば、

チュッ
渚の唇が、翔の唇に軽く触れた。


「大丈夫。いざとなったら、”翔”が助けてくれるでしょ?」

「え?」


───いざとなったら?
そんなことにならないように言ってるのに…

───助けてくれるんでしょ?
あの琉ですらあんなに取り乱すような事を起こす白取さんから助けられる?


翔の頭の中を駆け巡る不安。

口にする前に、


「 ”翔” 大好き」


全て消し去られる。


「渚……っ、俺も。だから、本当に危ないことは…」

「 ”俺も” 何?」

渚に被せられる言葉に、不快感は湧いてこない。

不安や理性を消されてしまう。


「俺も……好き、だよ」


そうして唇を重ねれば、心を暖めてくれた渚の口は、

「ふぁ……ンッ…」

甘いため息を零し始めて、

「渚っ……‼︎ 」

翔の頭の中を埋め尽くし、身体を熱く滾らせた。



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