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第13章 俺の周りの企み
─────…え?


どちらともなく漏れた声。


「と、敏友?」

睨み合いから一転、
互いが知り合いだと認識すると、
芙美は不思議そうに首を傾げ、
白取は顔を強張らせた。


「なんで?なんで敏友がここに?」

芙美が聞けば、白取は暫く視線を彷徨わせる。


「あー…芙美が心配で着いてきた」

こじつけた言葉を疑うことなく、

「敏友って、ホント私が好きで仕方ないのね。それってストーカーよぉ?」

芙美は呆れたように答える。

その様子に、
白取の思案顔が急に笑みへと変わった。

何か企んでいるかのようなその様子に、芙美は気付かない。


「じゃあ、俺がストーカーで訴えられないうちに結婚するか」

「えっ⁉︎ 」

突拍子もないことを言われて驚くのに、芙美の心が揺らぐ。


結婚…
それを夢見ない筈がない……

まして、たった今、
同い歳の元カレとその妻、そしてその子どもを見せつけられてきた。

しかも…

「元彼に振られたんだろ?」

「なん…で……」

「涙の跡」

優しく頬に触れる白取の指に、芙美の心臓が忙しくなる。


「忘れるためにも、新しい男と結婚してみたら?」 

それも、いいかもしれない……

そんな風に流されそうになる芙美の心。


思わず抱き着いた芙美を抱き締めながら、冷めた目で芙美を見下ろす白取。


白取の企み…
白取絡みの琉と愛里咲の過去…

白取の腕の中で恋の予感に浸る芙美はまだ、そのどちらも知らないでいた。



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