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第13章 俺の周りの企み
芽衣は少し考え込み、思い切って言うけどさ…と前置きする。


「今回の取引先の社長が女の人で、津川さん並に琉くんにかなりの御執心って話は聞いたけど……琉くんて躱し上手だからね。その事じゃなさそうだけど」


一瞬浮かんだ津川の顔を、愛里咲は頭をブンブンと振ってかき消す。

就職したばかりの頃、お局だった津川に受けたイジメ…
そして、津川の琉への恐ろしいほどのアプローチ…

愛里咲はぶるっと身震いした。


「少し前には女子高生の集団が琉くんに会わせろって会社に押しかけたらしいじゃん?受付で追い返されたらしいけど。
モテる旦那を持つと、気苦労が絶えないね」

いつか芙美がそんなことを言っていたなぁと頭の片隅で思いながら、芽衣の苦笑いに釣られて愛里咲も苦笑する。


もしかしたら考え過ぎなのかと、芽衣のおかげで少しは気の晴れた愛里咲。

芽衣に送ってもらい、自宅マンションのエントランスを入る。


(でも……まだどこか、気になるな……)

エレベーターを待つ間、ボーッとしていた愛里咲に、

「愛里咲ちゃん!買い物の帰り?」

心なしか琉と似ている声が掛けられた。


「翔さん?おかえりなさい。今日は早い帰宅ですね」

愛里咲が振り返るより早く、翔は双子のベビーカーを覗き込む。

すっかり見慣れたその顔に、ベビーカーの中の陽花も陽向も笑顔を見せた。



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