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第13章 俺の周りの企み
”私1人じゃ、2人を守れないの……”

そう言って、琉へと縋った愛里咲。


あの時だけじゃない。

体調を崩し熱を出した時、まだ仕事中だとわかっていて琉に電話していた。


いつも心の中で琉に助けを求め、答えを求めてた。

それは心の中に留まらず、

(最近じゃ、いつもすぐ声に…出してた……)


”そのために俺がいるんだろ”

”俺なら一度に2人を抱き上げられる”

”俺が居れば愛里咲と同時に違う方向に走り出せるだろ”

そう言ってくれた琉に返した愛里咲の言葉は、


”うん!頼りにしてるからね!”



「─────…っ…」

思わず漏れそうになった嗚咽を、口を押さえて止める。

グラグラと目の前が歪み、
足元から落下していきそうな感覚に、
愛里咲は堪らずしゃがみ込んだ。


(私が、弱いから?)

(いつも不安ばかり口にするから?)

(いつまでも、過去に囚われてるから?)

堪え切れずに溢れ出した涙が、愛里咲の頬に幾筋も流れ落ちる。


「愛里咲ちゃん‼︎ 大丈夫⁉︎ 」

先程から何度もぼんやりと聞き流していた声に、愛里咲はハッと我に返った。


「すみません……」

心配そうな翔の瞳に、慌てて涙を拭い笑顔を作る。


「いや……ごめんね。誤解しないでね?」

「……はい」

「ホントに誤解してない?」

「はい」


翔には、自分の言葉を愛里咲がどう受け取ったのかわからない。

愛里咲には、翔の言う誤解が何なのか、考える余裕すらない。

そうして、

「そっか……琉の様子、また教えてね」

「……はい」

翔は、愛里咲の部屋を後にした。



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