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第13章 俺の周りの企み

時折後ろを振り返っては周囲を確認する琉。
家を出る時も、帰宅する時も、気が抜けない。
そんな琉の不安を察することなく、
平日の昼間、愛里咲は1人で双子を連れて出掛けているらしい。
まだ完全に安心は出来ないけれど、
それでもしばらくは何事もなく平和で、
愛里咲にもいつもの笑顔と泣き顔が戻った。
いろいろと1人で完璧にやろうとするところは変わらないけれど…
そうなればフラフラ外へと行けなくなるだろうと、琉も止めなかった。
”黒のワゴン” は見掛けない。
琉だけでなく、翔も渚も、時々様子見に来てくれる芽衣も見掛けていない。
会社を辞めた白取の情報が入ることは少なくなった。
それでも、最近では若くて派手な女性とよく出掛けているらしいと聞いた。
このまま遠ざかってくれればいい…
そう願って止まない琉は、周りを気にしながら自宅マンションのエントランスへと入った。
「琉さん!」
久しぶりに聞く、まだ幼さの残る声。
マンションエントランスに佇んでいた芙由が、帰宅した琉へと駆け寄った。
「お久しぶりです!会いたかった!」
涙を浮かべながら、嬉しそうに笑いかける芙由。
同じ泣き顔でも、愛里咲とは違う。
何の欲情も覚えないその顔を無視し、通り過ぎようとした琉。
「テストの結果が悪くて塾に入れられてたの。でもどうしても琉さんに会いたくて逃げてきたの」
そう言って、芙由は琉のワイシャツをツンと小さく引いた。
「待たれても迷惑。ガキはとっとと帰って宿題やって寝ろ」
「っ、ひと目会えたから…今から帰ります」
歩き出す琉に、ワイシャツを掴んだまま纏わり付いてはニコニコ笑う芙由。
「もう来んなよ」
「嫌です!一日に一度は姿を見て声を聞きたい」
琉が芙由の手をワイシャツから剥がしても、芙由は全く怯む気配もない。
家を出る時も、帰宅する時も、気が抜けない。
そんな琉の不安を察することなく、
平日の昼間、愛里咲は1人で双子を連れて出掛けているらしい。
まだ完全に安心は出来ないけれど、
それでもしばらくは何事もなく平和で、
愛里咲にもいつもの笑顔と泣き顔が戻った。
いろいろと1人で完璧にやろうとするところは変わらないけれど…
そうなればフラフラ外へと行けなくなるだろうと、琉も止めなかった。
”黒のワゴン” は見掛けない。
琉だけでなく、翔も渚も、時々様子見に来てくれる芽衣も見掛けていない。
会社を辞めた白取の情報が入ることは少なくなった。
それでも、最近では若くて派手な女性とよく出掛けているらしいと聞いた。
このまま遠ざかってくれればいい…
そう願って止まない琉は、周りを気にしながら自宅マンションのエントランスへと入った。
「琉さん!」
久しぶりに聞く、まだ幼さの残る声。
マンションエントランスに佇んでいた芙由が、帰宅した琉へと駆け寄った。
「お久しぶりです!会いたかった!」
涙を浮かべながら、嬉しそうに笑いかける芙由。
同じ泣き顔でも、愛里咲とは違う。
何の欲情も覚えないその顔を無視し、通り過ぎようとした琉。
「テストの結果が悪くて塾に入れられてたの。でもどうしても琉さんに会いたくて逃げてきたの」
そう言って、芙由は琉のワイシャツをツンと小さく引いた。
「待たれても迷惑。ガキはとっとと帰って宿題やって寝ろ」
「っ、ひと目会えたから…今から帰ります」
歩き出す琉に、ワイシャツを掴んだまま纏わり付いてはニコニコ笑う芙由。
「もう来んなよ」
「嫌です!一日に一度は姿を見て声を聞きたい」
琉が芙由の手をワイシャツから剥がしても、芙由は全く怯む気配もない。

