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第13章 俺の周りの企み
「俺は毎日不愉快だけどな」

「私は!会いたいんです!」

ピタッと歩みを止めた琉に、芙由はパタパタと駆け寄った。


「……ホントにガキだな。必死にアピールする自分に酔ってないか?」


向けられる冷めた瞳にすらときめく…

「それくらい好きなのに……どんな琉さんでも受け止める覚悟はあります!」

上目遣いに琉を見上げ、必死に目をパチパチとしてみせる。

そんな芙由のアピールすら、

「お前が必死さアピールする程に、俺は引いていくけどな」

鼻で笑い飛ばし、琉はまた歩き出す。


自動ドアが閉まり、その向こうに琉が消えていくのを眺める芙由の瞳は潤んでいる。

「琉さん、好き……大好き……」

ガラスの重たいドアが琉であるかのようにしな垂れかかり、その冷たい感触に頬ずりする。


タイミング悪く帰宅したこのマンションの住人が気味悪げに見ていることにも気付かず、芙由はうっとりと目を閉じてガラスのドアに ”好き” と呟き続ける。


突然パチッと目を開けた芙由。

「……あ、肝心なこと言い忘れちゃった……うーん……今度奥さんに言えばいいかな」

そう言ってまた、冷たいガラスドアにその身体を預けた。


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