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第14章 【終】俺の彼女の活躍
愛里咲が真横をすり抜けていくのに、琉は立ち尽くしていた。

「愛里咲‼︎ 」

すぐに我に返り追いかけようとした琉の背後から、火がついたように泣き出す陽向の声。


「チッ…」

小さく舌打ちした琉は愛里咲を追い掛けるのを止め、双子の元へと駆け寄った。


心臓があり得ないほどに早く脈打つ。

泣き止まない陽向に苛立ちが募る。

不穏な雰囲気を読んだのか、寝ていた陽花までグズり出す。


「大丈夫だって。すぐ戻ってくる…」

片手に陽向を抱き、もう片方の手で陽花のお腹を優しくトントンする琉。

だが、その表情に焦りと苛立ちが隠せていない。


ピンポーン

玄関チャイムに、

「愛里咲⁉︎ 」

チャイムを押して愛里咲が入ってくる訳がないことも思い付かず、

琉は陽向を抱いたまま勢い良く玄関ドアを開けた。


「実家から送って来た惣菜のお裾分け〜」

呑気な翔の声。

廊下を見渡しても愛里咲の姿はない。


苛立ちを隠せない琉の腕の中で、

陽向が何かを訴えるかのように声を発し、翔に向けて腕を伸ばす。


「陽向〜どうした〜?琉に何か不満があるみたいだぞ……って、愛里咲ちゃんは?」

覗き込んだ家の中には、寝室から出て来た陽花が玄関へと続く廊下に座り込む姿だけ。

不思議そうに聞く翔に、

「……………出てった」

苦しげに、琉はそう呟いた。



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