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コンプレックス
第14章 【終】俺の彼女の活躍
男同士、いつも競り合ってた。

いつの間にか仲の良い兄弟ではなく、ライバルになっていた。

それが互いにコンプレックスを生み、

互いを遠ざけていた。

(こいつもコンプレックス抱えてたんだな)

弟の苦しみを感じ、翔までも顔を歪めた時、

琉の携帯のメール着信音が響いた。


『愛里咲、うちに来てるよ。もう少ししたら迎えに来てやって』 

佐藤の奥さんであり、琉と愛里咲の先輩である芽衣からだった。


「無事で、良かった……」

はぁー…っと安堵の息を漏らす琉。

思わず、翔の口から言葉が飛び出す。


「見てればわかる。今は違うだろ?」

不器用な兄が、精一杯に弟を慰めようと紡ぐ言葉。


「今の琉は、愛里咲ちゃんが泣くのは望んでないだろ?

 自分の隣で笑ってて欲しい、幸せにしたいって、俺にも伝わって来るんだ。

だから、愛里咲ちゃんにもちゃんと伝わってると思うぞ」


下手くそな言葉だけど、だからこそ胸いっぱいに染み渡る。
 

「…………兄貴……が、兄貴らしいとなんかムカつく」

「はぁ⁉︎ 」

照れ臭くて御礼なんて言葉にしないけれど、

「迎えに行って来る」

「あ、俺も行く」

並んで歩くその姿は、以前よりも絆が深まったように見えた。



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