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第14章 【終】俺の彼女の活躍
「芙美!愛里咲は⁉︎
まさか白取に連れていかれたのか⁉︎ 」


「─────…琉?」

こんなに取り乱した琉を、芙美は初めて見た。


チッと舌打ちして、琉は芙美に背を向ける。

そして、

「愛里咲‼︎ 」

既に見えなくなった黒いワゴン。
それを追いかけ走り出そうとする琉。


「琉!落ち着けって!」

その身体を羽交い締めにして必死に止める翔。


「……走ったって車に追いつくわけない」

芙美はため息と共にそう吐き出した。


「どこだよ⁉︎ どこに向かってる⁉︎ 」

翔の制止を振り切り、琉は芙美に掴みかからんばかりの勢いで問い詰めた。


「何 必死になってんの?ダサッ。
敏友、もう目付きおかしかったもん。間に合うわけない」

「は?」

冷めた言葉を吐き出す芙美。
琉は苛立った視線を返す。


「正気の目じゃない……すごく、怖かった……。
でも、愛里咲が悪いんだよ。敏友にセクハラの冤罪を被せて、異動先の子会社までクビにさせたんだもん!
そうよ。愛里咲が悪い。敏友が怒って当然だよ」


愛里咲への怒りで我を忘れていただけ。

先程の暴言や暴力は怒りで我を忘れてただけ。それすらも全て愛里咲のせいだ。

芙美は、必死に自分自身にそう言い聞かせる。


「冤罪なんかじゃない。白取さんのセクハラ被害者はたくさんいる。私も、その一人だよ」

静かな声に振り向けば、

走ってきたのか、息を切らせた渚がいた。


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