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第14章 【終】俺の彼女の活躍

睨むような芙美の視線も気にせず、渚は翔へと駆け寄る。
「翔!連絡ありがとう。
今すぐ行かなきゃいけないところがあるの。白取さんの居場所がわかったら教えて」
そう言って、渚はまたどこかへ走り出す。
”白取の居場所”
渚のその言葉に、琉は無理矢理に芙美の手を引き、自身の車へと向かった。
「白取の自宅に案内しろ」
いつもより低い琉の声は、明らかな怒りが混ざっている。
「な、んで…っ……愛里咲が悪いのに…」
「愛里咲に悪いところなんか一つもない!」
芙美の声をかき消す琉の怒鳴り声。
怯えて黙り込んだ芙美を後部座席に促しながら、翔は運転席に乗り込もうとしている琉へと声を掛けた。
「琉!俺が運転する。冷静さの足りない今のお前じゃ危な過ぎる」
何か言いたげに口を動かした琉だが、翔に背中を押され渋々後部座席の芙美の隣へと座った。
「白取の自宅は?どこ?」
芙美の方を見ないまま、琉は問いかけた。
「……琉は……愛里咲の味方なんでしょ。そんな人、敏友のところに連れていけない」
芙美もまた、琉から視線を逸らせてそう答えた。
「愛里咲を助けたいんだよ!早く言えよ!」
琉が苛立つほどに、
「いやよ!愛里咲が望んで着いて行ったのよ。穢された愛里咲なんか捨てて、私とやり直せば?」
芙美のやるせない気持ちも高まる。
「約束したんだよ!もう二度と…あんな怖い思いはさせないって!
早く言えよ!間に合わなくなる!」
「間に合わないよ、もう!必死になっちゃって馬鹿馬鹿しい!琉ならいくらでも相手がいるでしょ!愛里咲なんか敏友にくれてやればいいじゃない!私の幸せぶち壊して…思い知ればいい!」
自分を想ってくれる人と結婚すれば幸せになれると思った。
そうすれば、琉を手放したことを後悔しなくなると思った。
─────なのに、
婚約者は愛里咲と姿を消し、
元恋人はこんなにも必死に愛里咲を探している。
(こんなの……許せない!愛里咲ばかりがチヤホヤされるなんて……っ)
芙美は腕を組み、嘲笑うかのように琉を見た。
「翔!連絡ありがとう。
今すぐ行かなきゃいけないところがあるの。白取さんの居場所がわかったら教えて」
そう言って、渚はまたどこかへ走り出す。
”白取の居場所”
渚のその言葉に、琉は無理矢理に芙美の手を引き、自身の車へと向かった。
「白取の自宅に案内しろ」
いつもより低い琉の声は、明らかな怒りが混ざっている。
「な、んで…っ……愛里咲が悪いのに…」
「愛里咲に悪いところなんか一つもない!」
芙美の声をかき消す琉の怒鳴り声。
怯えて黙り込んだ芙美を後部座席に促しながら、翔は運転席に乗り込もうとしている琉へと声を掛けた。
「琉!俺が運転する。冷静さの足りない今のお前じゃ危な過ぎる」
何か言いたげに口を動かした琉だが、翔に背中を押され渋々後部座席の芙美の隣へと座った。
「白取の自宅は?どこ?」
芙美の方を見ないまま、琉は問いかけた。
「……琉は……愛里咲の味方なんでしょ。そんな人、敏友のところに連れていけない」
芙美もまた、琉から視線を逸らせてそう答えた。
「愛里咲を助けたいんだよ!早く言えよ!」
琉が苛立つほどに、
「いやよ!愛里咲が望んで着いて行ったのよ。穢された愛里咲なんか捨てて、私とやり直せば?」
芙美のやるせない気持ちも高まる。
「約束したんだよ!もう二度と…あんな怖い思いはさせないって!
早く言えよ!間に合わなくなる!」
「間に合わないよ、もう!必死になっちゃって馬鹿馬鹿しい!琉ならいくらでも相手がいるでしょ!愛里咲なんか敏友にくれてやればいいじゃない!私の幸せぶち壊して…思い知ればいい!」
自分を想ってくれる人と結婚すれば幸せになれると思った。
そうすれば、琉を手放したことを後悔しなくなると思った。
─────なのに、
婚約者は愛里咲と姿を消し、
元恋人はこんなにも必死に愛里咲を探している。
(こんなの……許せない!愛里咲ばかりがチヤホヤされるなんて……っ)
芙美は腕を組み、嘲笑うかのように琉を見た。

