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第14章 【終】俺の彼女の活躍
しん……と静まり返る車内。

フーッと琉が小さく息を吐き出した。


「……愛里咲は、白取じゃなくても…誰にも渡せない。俺が、愛里咲じゃなきゃダメだから……」

芙美を見据え、ハッキリとした口調で話し出す琉。

真剣なその様子に、芙美は思わず押し黙る。


「芙美、頼む……愛里咲を助けたい」

初めて、琉が芙美に頼みごとをした。

なのに、その内容が愛里咲のことだなんて気にくわない。

焦りに満ちたその顔はどこか泣きそうにも見えて……

あの琉にそんな顔をさせるほどに想われている愛里咲が憎くて堪らない。


「っ…間に、合わないかもしれないじゃない!穢された愛里咲とこの先も一緒に居られるの⁉︎ 」

「居られる。でも、間に合わせたいんだ。だから……」


飄々としていて、

いつだって冷静に周りを見ている琉が、

見るも明らかに動揺している。

(そんなにも愛里咲が……?)

芙美の心に広がり始めるのは、敗北感だ。



「愛里咲が望んで着いて行ったのよ!琉を待ってなんかない!」

「……だとしても、他の男にくれてやるつもりはない。愛里咲を迎えに行く」


琉が芙美を真っ直ぐに見つめたのはいつ以来だろう。

もしかしたら初めてかもしれない。


逸らされることないその瞳から、芙美は目が逸らせない。


瞳の奥に見えるのは、

家族を守ろうとする男の強さと、

愛里咲に対する真っ直ぐな気持ち。

今更どれだけ望んでも、愛里咲に向けられた琉の気持ちはブレないのだろうと思い知らされる。


「愛里咲を助けたい。

芙美……頼む……っ‼︎ 」


愛里咲を助けたい……

そう言って、

琉は芙美に向けて頭を下げた。



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