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第14章 【終】俺の彼女の活躍
ガチャガチャ
外からドアノブを回す音が聞こえる。

「フンッ、場所がわかっても開かなきゃどうすることも出来ない。芙美は逆上し易いからな。すぐに諦めて帰るだろう」

白取の言う通り、鍵の掛けられたドアは外からは開けられない。

愛里咲の瞳が絶望の色を映し始めた時、

「愛里咲‼︎ 」

愛しい人の声に、

「─────…っ!んんっ‼︎ 」

つい先程奪われた筈の ”抵抗する気力” が一気に漲り、愛里咲は塞がれたままの口から必死に声を絞り出した。


(来てくれた……っ!琉ちゃんがっ、助けに…来てくれた‼︎ )


ダーンダーンと、ドアが大きな音を立てて揺れる。

だが、

「体当たりしたところで、ドアは簡単には壊れない。残念だったな」

そう言い放ち、白取は愛里咲にバリカンを見せ付けた。


(髪なんか…っ…髪なんか刈り上げられたっていい。琉ちゃんっ……琉ちゃんが、もうそこにいる!)

愛里咲の瞳から恐怖の色が消え、代わりに白取の瞳にほんの僅かな動揺が見て取れる。


「琉!落ち着け!管理人に鍵を…」

ドアに体当たりを続ける琉を必死に止める翔の言葉に、

「鍵なら私が持ってる」

さらりと答えた芙美。


「は⁉︎ 」

白取が途端に動揺した。


鍵穴へと鍵が差し込まれる音。

そして、その鍵を開ける音。


「あんな女に協力なんて頼まなきゃ良かったな‼︎ 」

白取はバリカンを持ったまま、奥の部屋へと愛里咲の髪を鷲掴んで引き摺る。


─────…バンッ‼︎

玄関のドアが開く音に、愛里咲は必死にそちらへと顔を向けた。


(琉ちゃん‼︎ )

声は出せないけれど、代わりに涙が溢れ出す。

涙のせいで見えにくくなる愛里咲の視界は、

絶対来てくれると信じていた愛しい人が駆け寄って来る姿を映すのに、

涙の膜で滲んで見えなくなる。



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