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第14章 【終】俺の彼女の活躍
大事な部分の真上で、芙美は楽しそうにハサミをカチカチ鳴らす。


「やめろ…やめろ!おい、夏川!やめさせろ‼︎ 」

すっかり怯え、半泣き顔で助けを求める白取。

だが、

「兄貴、呼ばれてるぞ」

「は?琉のことじゃないのか?」

翔も琉も芙美を止めるつもりなどなさそうだ。


「な、夏川!どっちでもいい!助けろ」

「んじゃ、ジャンケンで決める?」

「おし、俺、グー出すからな!」

楽しそうな翔と琉の会話に、愛里咲は困ったように笑い返す。


「愛里咲、お前も夏川なんだから参加しろよ」

「え?」

呑気な会話。

「おい!早く…早く助け…」

苛立ち、怯える白取。

「動くと〜大事な所切っちゃうよ〜?」

ハサミを近付ける芙美。


「や、やめ…やめろ……やめろやめろやめろ……」

「こんな縮こまっちゃって〜、小さくて見えないなぁ…間違えて切っちゃいそう」

「ヒィッ⁉︎ 」

ハサミの先で突つかれたそこは、白取の心臓と共に縮み上がる。


「た、頼む…やめてくれ…た、助けて…」

涙声の白取。

つい自分を同じ状況に当て嵌めてしまった翔も、涙目になる。

だが琉は、愛里咲と共に白取の前へと立った。


「あんたが散々やってきた事だろ?
権力で身動き取れなくさせて、暴力で押さえつけて……
あの…時……やめて欲しい、助けて欲しい…って……愛里咲の、声は……お前に聞き届けられなかったよな?」

時々言葉を詰まらせる琉。

自分だけが苦しいと…
自分だけが辛いのだと思っていた。

なのに、
琉はこんなにも、愛里咲と共に苦しんでくれていた。


「琉ちゃん……ありがとう。もう、大丈夫だよ。琉ちゃんが隣に居てくれたら、きっと過去に出来る」

「愛里咲……」

「あの時も…今日も……いつだって琉ちゃんが助けてくれたでしょ?いろいろあったけど、琉ちゃんが私に幸せな気持ちをたくさんくれていたから…ずっと忘れてたくらいだよ?」


琉の顔を見る愛里咲の顔は、晴れ晴れとしていた。


「これからもっともっと長い年月一緒に過ごして、幸せな気持ちで満たしてくれたら……忘れちゃえるよ」



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