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第15章 【おまけ】俺と弟のその夜…
パッと手が離され、

渚の背中がそっと押される。

モワッとする熱気。

思わず開けそうになった目を慌てて閉じた渚に、

「渚!目ぇ開けていいよ!」

興奮を隠し切れない翔の声が掛けられた。


「─────…え?」

思わず絶句する。


渚が連れてこられた場所はお風呂場。

並々と入れられた湯船のお湯は……真っ赤だ。


「な、に…これ……薔薇⁉︎ 」

駆け寄りそのお湯を掬えば、
湯船を埋め尽くす ”赤” の正体に驚く。

滑らかな花びらがお湯を掬った渚の手にしっとりと張り付き、生花である証の匂いが鼻を擽る。


「……薔薇風呂?素敵……」

何度も何度もお湯を掬えば、
薔薇の香りが渚の手に移っていく。


「気に入ってくれた?」

その声にバッと振り返った渚の瞳は、
しっとりと潤んでいた。


「頑張った渚に、薔薇風呂用意したよ」

したり顔の翔。

悪戯が成功したかのような満面の笑みに、渚も笑顔になる。



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