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第3章 弟の会社
「───…ムカつく」

隣の部屋では、琉が壁を睨みながら低く呟いていた。

その壁の向こうでは、薄い壁越しに愛里咲の声を拾い翔が自らの熱を慰めている。

単純な兄の行動など手に取るようにわかる。


「なっ…何にムカつくの⁈ こっちのセリフだし‼︎ ていうか、コレ、解いてよ」

縛られた両手を差し出し、涙目で言い返す愛里咲をジッと見つめれば、ビクリと身体を強張らせ目を逸らされる。


琉は、愛里咲の縛られた両手の間に、自分の首を通す。

「─────…っ」

いきなり間近に迫った端正な顔に、愛里咲は顔を赤くして俯いた。

その顔を、

琉は顎を掴んで無理矢理自分の方へと向ける。


「今頃、兄貴は愛里咲の身体を思い出して1人でヤッてんだろうな」

「ええっ⁉︎ 」

「聞かせてやれよ、愛里咲の喘ぎ声」

ニッ…と、琉の口端が意地悪く持ち上げられれば、

それを見た愛里咲の身体がゾクリと粟立つ。


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