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コンプレックス
第1章 弟が父親になった

出産の連絡を受け居ても立ってもいられなくなった両親は、まだ午前中だというのに愛里咲が入院している病院へと押しかけた。
昼過ぎにようやく帰宅した両親はすっかり祖父母の顔になっていて、うんざりする程の初孫話を聞かされた。
それでもまだ足りないのか、愛里咲に付き添っていた琉を家へと連れ帰り事細かに出産の様子を聞き出す。
あしらい上手な琉に適当に躱されながらも、母親の口は止まらない。
まだほとんど動きのない新生児の初孫達の写真を、朝から緩みっぱなしの顔で見つめる父親も、母親と琉の話には耳を傾けているようだ。
ほとんどの話を聞き流していた翔。
そのせいか、度々「聞いてるの⁈ 」と母親からの怒声が飛んでくる。
うんざりした翔は、昼食を済ませ早々に自室に篭っていた。
それから琉が辞書を借りにやってきたのは大分後。
(さすがの琉も、あのマシンガンな母親を巻くのには手間取ったんだな)
そう思うと何だか可笑しくて、翔は部屋で一人声を殺して笑った。
昼過ぎにようやく帰宅した両親はすっかり祖父母の顔になっていて、うんざりする程の初孫話を聞かされた。
それでもまだ足りないのか、愛里咲に付き添っていた琉を家へと連れ帰り事細かに出産の様子を聞き出す。
あしらい上手な琉に適当に躱されながらも、母親の口は止まらない。
まだほとんど動きのない新生児の初孫達の写真を、朝から緩みっぱなしの顔で見つめる父親も、母親と琉の話には耳を傾けているようだ。
ほとんどの話を聞き流していた翔。
そのせいか、度々「聞いてるの⁈ 」と母親からの怒声が飛んでくる。
うんざりした翔は、昼食を済ませ早々に自室に篭っていた。
それから琉が辞書を借りにやってきたのは大分後。
(さすがの琉も、あのマシンガンな母親を巻くのには手間取ったんだな)
そう思うと何だか可笑しくて、翔は部屋で一人声を殺して笑った。

