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第5章 『俺』の気持ち
「名前は、はると!」

慣れない手付きでわが子を抱き上げ、佐藤はドヤ顔で言う。

だが、首が下がるその抱き方に、芽衣が慌てて赤ん坊を取り上げた。


2人のやり取りをため息混じりに見ていた琉が、どこかわが子に似た名前を聞き返す。

「はると?」


「そう! 陽花の陽に音で、陽音(はると)」

「例えで陽花が出てくるって事は……」

「合わせたんだよ!三つ子みたいだろ?」


佐藤の言葉に、

ホントだぁっと喜ぶ愛里咲。

対照的に、琉は眉間に皺を寄せる。



「俺、結構名付けに悩んだんですけど?」

不機嫌にスッと目を細める琉。


気にした様子もなく、

「似てる名前繋がりで、陽花を陽音の嫁にもらってやってもいいよ?」

佐藤はガシッと琉の肩を組む。


「”似てる” んじゃなくて、”似せた” んでしょ?

陽花は嫁に行く相手くらい自分で探せるように育てるんで、陽音もそうして下さい」


まるで兄弟かのように言い合う2人を見て、愛里咲と芽衣はクスクスと笑う。


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