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年上Lovers♡♡
第1章 数学講師の加藤先生



3月中旬の夜、少し薄着でも問題なかったお昼頃の暖かさが嘘のように、外はひんやりと冷たかった。先生に巻いてもらったマフラーに顔を埋めて手を擦りあわせ息を吐いた。


智美には最後まで気持ちを伝えなくていいの?って問い詰められて、思わずどう答えたらいいか分からなかったけど、言いたくなったり言えそうだったら頑張ろうかなって言っておいた。これは私の本音そのものだった。


後ろで階段を降りる音がして、後ろを振り向いた瞬間ドアが開き、加藤先生と目が合った。


「…もっとかかると思ってた。」

「……寒くなかったか?」

「平気、マフラーあったかいよ。」


そう言って笑うと先生も笑って、そのまま巻いとけって言われた。先生は自転車を出して歩き、私はその隣に並ぶ。


「……何回かこうやって帰った日もあったね」

「…ん。」

「だいたいそういう日は、模試が帰ってきた日とか、塾長と話し合った日とか、なんか泣いてる時が多かった気がする。」

「…今日も泣きそうだったもんな?」

「……最後だからね…」


それからは私の家までお互いに何も話さずただ黙々と歩いた。




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