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第4章 蛇蝎の槽

「安心しな、危害は加えないし、事が済んだら解放するよ。　ただちょっとこれからアンタが目耳にすることは刺激が強いんでね、そこで大人しくしててもらいたいのさ」

手足を拘束された上に縄で椅子に縛り付けられ、聡一郎はまるで身動きがとれなくなった。
目の前にステージと観客席の一部が見えるように座らされている。
やがて、天元寺がこれから何が起こるのかを喋り始めた。

「アンタの娘や奥さんを誘拐したのは、ワケがあってね、なにもヤクザだからってシノギのためにカタギの人間さらったりはしねえよ。　アンタに恨みを持った依頼人がいるのさ、まあこんな派手なやり方は俺の兄弟分の趣味なんだろうけど……」

「仕事の恨みか？　復讐するつもりなのか、なら、なぜ妻子にまで手を出す必要がある。　そいつに会わせろ！」

聡一郎は天元寺に噛みつかんばかりに吠えた。