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第2章 ハブの毒牙

鏡台が並び、メイクアーティストらしい女性がその一人のヘアメイクをしている。
その女性は美雪が現れチラリと見るとすぐに目を逸らした。 他の女性たちも忙しいようにして美雪の存在を無視しているように感じる。
女達の衣装と思われる沢山のドレスはシルクジョーゼットなどの高級品ばかりで、アクセサリーも本物のジュエリーに間違いない輝きを放っているように見えた。
（なに、ここは……）

このビルの四階と五階を占める会員制高級クラブ『ディスカス』のフロアレディ達のメイクルーム。
そこには美しく品種改良された高級熱帯魚のように……。
ディスカスは繊細でか弱く、しつかりと管理飼育されるように……。
ここの女達もどこか、臆病におびえながら、最高級の被虐美をまとっているように見えた。