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第2章 ハブの毒牙

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羽生菱二は安代美雪をドレスアップするように命じてから、クラブ『ディスカス』のVIPラウンジにいた。
このビルの五階は四階とは独立した造りで、四階よりもグレードの高い会員が案内される場所になっている。
さらに格調高い調度品とインテリア、そしてフロアの奥にショーステージがあり、今、そこには大きなスクリーンがあって、プロジェクターからスライドショーが映し出されていた。

「どうです？ いい女でしょう」
羽生はステージの前のソファーに座る男に説明する。
スライドショーは大規模なパーティーのような光景が映し出されていて、安代美雪は、夫の聡一郎と一緒に写っている写真が大きく引き伸ばされている。

「こいつはAOI電器の決算報告会の後のパーティーの様子でね、ほらこいつなんか筆頭株主の一人で見たことあるでしょう」