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第3章 美畜の宴

「ミユキさん。 おはようございます」
もう陽が落ちて夜になろうというのに、変な挨拶をされて戸惑う様子の美雪を、丁寧にエスコートし、ボーイは美雪と一緒にエレベーターで五階まで上がっていった。

そこで待っていたのは、あの羽生菱二と初めて見る男だった。
羽生と一緒にいるのだが、どう見てもヤクザではなさそうだ、高級クラブの客にしては、着崩れたスーツで顔も汚く日焼けしている。 初めて安代美雪と会うはずなのに、その眼光は険しくギラついているように思えた。

「よう、ミユキ。 いい店だろ。 今日はこれからここでデビューだ」
相変わらず人をくったような物言いだった。 この人間には良心というものが欠片もないのだろう。