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第4章 蛇蝎の槽

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安代香里は天元寺剛らによって拉致されてしまった。
今、羽生菱二のビルの八階にある、事務所にいる。
高校からの帰宅途中、制服姿のまま、羽生組の事務所のソファにすわらされていた。
周りには羽生菱二の事務所のスタッフ、といっても堅気な連中ではないが、見た目にはサラリーマン風だ。
OLのような女性もいるが、実は羽生の管理する女達の教育係りだったりする。羽生菱二が運営するグループの中枢、魔窟と言っていい。

「もうすぐ、お前のパパが来るそうだ。 よかったな」
香里とテーブルを挟んで対面に座るのは羽生菱二だった。

「どうして？ お金なら、パパが来なくてもいいでしょう」
香里はその不安をぶつけた。