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近くて甘い
第28章 信頼の崩壊
怒っているのか、それすらも、表情が見えなくて分からない。



「あの…」



クルリと前に出て、光瑠さんの顔を見ようとしたら、ちらっと私のことを見て、また視線をずらした。




少し苦しそうで、寂しそうなその瞳に、ドキドキと胸が鳴った。



何があったの?




「光瑠さんっ…何か言って下さいっ…」



「………」



「ねぇっ…光瑠さんっ…!光瑠さんってばっ!」



「お前こそ…」




ようやく口を開いた光瑠さんは、やっぱり寂しそうな顔で私の事を見つめてきた。




「お前こそ、俺に言ってないことが、あるんじゃないのかっ…」




「え………?」




ギュッと唇を噛んだ光瑠さんは、片手で顔を覆って俯いた。




光瑠さんに言ってないこと…って…




「真希…俺はそんなに寛大じゃない…」


「………」


「分かってるはずだっ…」




強く見つめてきた光瑠さんは、そのまま私にジリジリと寄っていた。



光瑠さんが…何の話をしているのか、すぐに分かった。




「無理矢理されたのかっ…」


「っ…光瑠さんっ…」



光瑠さんは私の顎を持ち上げて、親指で私の唇に触れた。




「関根は…っ…強引にっ…力付くでお前にキスしたのかっ…」


「……」



「答えろっ!!」




突然叫ばれて、身体がビクンと跳ねた。






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