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You are a woman. 〜Nao〜
第1章 『日常』
‥おい、なんだ。
いつもの通勤電車のいつもの車両に乗り込むと尚が下を向き困っている姿が目に入った。
俺は男どもらの間から見える尚の腕を掴んで引き寄せた。
「キャッ!」
男どもらの間から華奢な尚が姿を表す。
「‥あっ!英介!」
「ったく‥英介じゃないだろう‥大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
尚の周りを囲んでいた男どもらが俺を見た。
俺は凄むように男どもらを睨むと目を逸らす。
「美和と一緒じゃあないのか?」
「うん」
「うんじゃあないだろう‥こんなに混んでいるのに‥」
「でも英介が来てくれたから安心だよ」
尚はニッコリしながら俺を見上げた。
‥この顔‥
通勤時間のこのひと時が俺は好きだった。