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恋セヨ乙女
第15章 動き出した関係
「……あら、いいもの見ちゃったかも」
カーテンを閉めに行った鞠華が嬉しそうに振り返る。
鞠華がそう言うときは大抵ろくな事じゃない。
…が、一応聞いてみる。
「何?」
「可愛いラブシーン」
「………」
ほら、ろくな事じゃない。
「道端でチューして初々しいわね」
「やめとけ、悪趣味だぞ」
「あら、外でするプレイなんて見られること前提よ」
「プレイとか言うな」
全くデリカシーのない女だ。
「えっと…誰だっけ、彼女」
「鈴村さん?」
「んー…下の名前は?」
「知らない」
鞠華はやれやれと首をかしげてカーテンを閉めて隣に座った。
「彼女からキスしてたわよ」
「…ふーん」
「いいわね、初々しくて」
そう吐き捨ててソファにあったクッションを俺の膝にボンと置いた。
「……さて、練習しようかな」
「俺は適当に帰る」
「鍵掛けてってね」
振り返ることなく鞠華は隣の部屋に消えた。
その瞬間、俺は安堵のため息をこぼす。
……修学旅行の一件から鞠華を抱けなくなった。
初めこそ俺を気遣っていた鞠華だが、セックスが好きな彼女の不満は時が経つほど大きくて、最近俺たちはギクシャクしている。
ふいにカーテンの閉まった窓に目を向けた。
『彼女からキスしてたわよ』
「………」
あの日の言葉通り二人は今付き合っているのだろう。
俺と彼女はあの日から個人的な会話はしていない。
鞠華をデリカシーのない女だと非難しながら俺は更にデリカシーのないことを考えていた。
…彼女は女になったのだろうか。
記憶とは不思議なものでその肌は色褪せるどころか今でも俺の中で生きている。
声も、表情の一つ一つも鮮明に思い出せる。
彼女を大人にするのは自分じゃないと突き放したにも関わらず、他人の手で女になる彼女を思うとあの時全てを奪ってしまえばよかったなんて恐ろしい考えまで浮かぶ始末だ。
カーテンを閉めに行った鞠華が嬉しそうに振り返る。
鞠華がそう言うときは大抵ろくな事じゃない。
…が、一応聞いてみる。
「何?」
「可愛いラブシーン」
「………」
ほら、ろくな事じゃない。
「道端でチューして初々しいわね」
「やめとけ、悪趣味だぞ」
「あら、外でするプレイなんて見られること前提よ」
「プレイとか言うな」
全くデリカシーのない女だ。
「えっと…誰だっけ、彼女」
「鈴村さん?」
「んー…下の名前は?」
「知らない」
鞠華はやれやれと首をかしげてカーテンを閉めて隣に座った。
「彼女からキスしてたわよ」
「…ふーん」
「いいわね、初々しくて」
そう吐き捨ててソファにあったクッションを俺の膝にボンと置いた。
「……さて、練習しようかな」
「俺は適当に帰る」
「鍵掛けてってね」
振り返ることなく鞠華は隣の部屋に消えた。
その瞬間、俺は安堵のため息をこぼす。
……修学旅行の一件から鞠華を抱けなくなった。
初めこそ俺を気遣っていた鞠華だが、セックスが好きな彼女の不満は時が経つほど大きくて、最近俺たちはギクシャクしている。
ふいにカーテンの閉まった窓に目を向けた。
『彼女からキスしてたわよ』
「………」
あの日の言葉通り二人は今付き合っているのだろう。
俺と彼女はあの日から個人的な会話はしていない。
鞠華をデリカシーのない女だと非難しながら俺は更にデリカシーのないことを考えていた。
…彼女は女になったのだろうか。
記憶とは不思議なものでその肌は色褪せるどころか今でも俺の中で生きている。
声も、表情の一つ一つも鮮明に思い出せる。
彼女を大人にするのは自分じゃないと突き放したにも関わらず、他人の手で女になる彼女を思うとあの時全てを奪ってしまえばよかったなんて恐ろしい考えまで浮かぶ始末だ。